デビ庵 ~ディストリビューションの紹介とインストーラ作成~
Table of Contents
インストーラ作成
インストーラの入手
どのディストリビューションでも、手順はほぼ同じです。
isoファイルをダウンロードし、USBメモリ、CD/DVDインストールメディアを作成します。
ここではDebianで解説します。
Debianを入手しましょう。
Debian JP Projectのサイトには今後お世話になりますので、まずはサイトをよく読みましょう。
[ダウンロード]よりインストーラISOファイルをダウンロードします。イマドキなPC(core2以降かな)では、[PC/サーバー用DVDイメージ (64ビット)]を選択すればよいでしょう。
執筆時点での最新版ISOファイルはver.9.4.0です。
http://cdimage.debian.or.jp/current/amd64/iso-dvd/debian-9.4.0-amd64-DVD-1.iso
インストールメディアの作成
DVDメディアに記録するか、USBメモリを使用するのが便利でしょう。
DVDインストールメディアを作成する
WINDOWSの場合
WINDOWS10では、isoファイルをDVDに焼くことが一筋縄ではいかないようです。
簡単なのは、書き込み専用ツールを使う方法です。
Linuxの場合
LinuxをGUIで使っていれば、たいていのディストリビューションではBraseoが使えます。
apt/yumなどでもインストールできます。
USBメモリインストールメディアの作成
サーバではDVD/BDドライブがないことも多いでしょう。
USBメモリからのインストールが便利です。
USBからのブートメディアとしても利用できます。
WINDOWSの場合
ツールはいろいろありますが、Linux Live USB Creatorを使ってみてはいかがでしょうか。
Linuxの場合
ddコマンドで作成できます。rootで作業します。
USBメモリはfat32フォーマットのままで大丈夫です。
USBメモリを刺し、dmesgコマンドでUSBメモリのデバイス割当を確認します。
仮に /dev/sdc1に割り当てられていたとすると、下記にてUSBのブートメディアが作成できます。
# dd if=debian-9.4.0-amd64-DVD-1.iso of=/dev/sdc1 bs=1048576
ディストリビューションの紹介
ディストリビューションは、大きくdebian系、RedHat系、Slackware系(実際は他にもある)に大別されます。有名なディストリビューションも、これらからの派生のものがほとんどです。
日本語を不自由なく使え、特にお勧めできるディストリビューションを紹介します。
Debian GNU/Linux
debian系の大元。
世界中の最も大規模なボランティア開発者による、誰の資本の元にもない自由なソフトウェアです。
それが故に、日本人が大好きな「御社の責任」というものがなく、すべて使う人の責任になるため、企業での採用が皆無に等しいとか、マニアックなディストリビューションと言われています。
実際は、ユーザのレポートも多く、開発者の皆様も親切で、私としては初心者にこそ勧めたいディストリビューションです。
また、個人や非営利団体のサーバ構築には特に向いています。必要な機能を足していく発想なので、とても軽く(CPUやメモリ)動作します。
こんな方に
初心者でLinuxを使いこなせるようになりたい方。
サーバや組み込み用途に使用したい方。
先人や開発者に敬意を払いつつ、大規模なシステムを自力で構築したい方。
ubuntu
debian系の派生で、Canonical社が開発、サポートしています。
WINDOWSに近い使い勝手や、マルチメディア系やゲームパッケージが充実しているので、デスクトップ(ノートでもデスクトップユース。そういうことです。)ユースに適しています。
ゲームパッケージはubuntu向けにパッケージされることが多いです。
ユーザからの情報も多く、普段使いのPCには最適な選択でしょう。
こんな方に
WINDOWSの代わりにもなる、普段使いしたい方。
最新のソフトウェアを使いたい方。
バージョンアップ頻度が高いので、インストールが苦にならない方。
fedora
RedHat系。RedHatを安定したものにするため、不安定でも最新版をリリースしてみんなに使ってもらい、完成度を高めていくための位置づけ。
RedHat社が開発していますが、先行試験的な位置づけのため、メーカのサポートはありません。
こちらもubuntu並みにユーザが多く、ユーザからの情報が豊富です。
こんな方に
WINDOWSの代わりにもなる、普段使いしたい方。
最新のソフトウェアを使いたい方。
バージョンアップ頻度が高いので、インストールが苦にならない方。
ubuntuとfedoraは、運営会社はクラウドやサーバ提供で事業が成り立っています。ある意味、一般ユーザは先行するパッケージのテスタのような役割になります。ユーザとメーカの利害が一致しているので成り立っていますが、かつての「みんなで作り上げていく」という雰囲気とはちょっと違うものがありますが、なんでもタダというわけにもいかないので、正常な進化ともいえると思います。
Centos
RedHat系。RedHat Enterplise Editionがソース公開されているので、有志がRedHatライセンス(ロゴ等)を外してビルドして提供しているディストリビューションです。
よって、RedHatと同等の信頼性と安定性です。サポート期間もRedHat同様です。但し、アップデートはRedHatより若干遅れます。
枯れた安定性が魅力です。
こんな方に
安定性、信頼性が欲しい方。
Redhat採用前の評価に。
Vine Linux
日本のディストリビューションで独立系と言っていいと思います。元々はRedHat系。アップデートの仕組みはapt(Debian系)。
かつては日本語対応が圧倒的に進んでいたため一世を風靡しましたが、現在は世界的にメジャーなディストリビューションの日本語対応が進んでいるため、特徴を出しにくくなった感があります。
32bit版が動作する。メンテナンスは継続されている。日本語GUIを使ってもものすごく軽いのが特徴です。
また、開発者が日本人なので、日本語での議論がされています。
日本人のエンジニアは無駄に忙しいのと、自分が解決できればそれでOK(サラリーマン根性)なので、もっと余裕をもってオープンにできるサポータが増えれば、もっと世界で戦えると思います。特に2Byte言語圏で。
こんな人に
日本語利用での安定性を求める方。
非力なマシンで使用したい方。あるいはリッチなマシンで超ストレスフリーで使いたい方。
日本発祥のものをもっと盛り上げていきたい と思う方。
Plamo Linux
Slackware系の日本のディストリビューション。
基本方針として「Linux の持つホビー性の持続を念頭に開発され,ユーザ自身の手で自分好みの Linux 環境を作り上げていく楽しみを味わう事」とある通り、ディストリビューションのユーザとして使いだけでなく、自分の環境を作り上げていくことを念頭に置かれています。
よって、ユーザのコミュニティも使うことよりも作ることに注力されていて、日本のディストリビューションであることもあって、Linuxを作っていく側に進みたい方に最適です。
見通しが良いだけに、敷居は高いですが、原理を理解しながらの実際の運用は やりやすいです。
Linuxの持つ本来の楽しさを守っているディストリビューションです。
こんな方に
自分の環境を作り上げていきたい方。
Linuxを作る側に進みたい方。
本当の意味で超マニアックな方。
Slackware
Slackware系の大元。
Plamo Linuxと同じく、自分で作り上げていくことで学習したり、独自環境を作り上げていくことが目的となります。
情報は多いですが、敷居は高く、運用も高いレベルが要求されます。
こんな方に
未来のエンジニアには、ぜひ経験してほしいです。
個人的には、Slackware系であればPlamo Linuxをお勧めします。
RedHat(RHEL)
RedHat系の大元。かつてはフリーウェアでしたが、現在は有償版のみで、主に企業で使用されています。
有償になったとはいえ、ソースは公開されていますので、フリー版の役割はCentOSに移ったといえると思います。
こんな方に
有償サポートが必要な方。
安定性、信頼性を重視し、悪寒を払ってもいい方。
「御社の責任」が欲しい人たち。
サポート期間について
各ディストリビューションのメジャーアップデート間隔やサポート期間については、それぞれ独自の考えによります。
最新を追い続けているubuntuやfedoraはサポート期間が短く(ubuntuのLTSは主要パッケージは5年です)、RedHat、Centosは非常に長いです。
サーバ利用であればサポート期間が長いディストリビューションを利用すべきと言われていますが、実際はサーバ上で動作するアプリケーション(WrodPress等)が要求するパッケージの更新が必要で、セキュリティアップデートには追従せざるを得ず、古いバージョンでは動作しなくなっていくことが多々あります。
このような事情で、サーバを放っておくということは現実的でなく、結局手を加えなければならないため、2年程度以上のサポートのディストリビューションであれば問題ないと考えられます。
そういう意味ではDebianは3から5年程度で十分で、他にはubuntuのLTS版を使うとか、CentOSで必要なパッケージだけバージョンアップしていくような使い方になるでしょう。